Article
天文学:明るい連星中性子星合体における非対称な質量比
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2439-x
連星系の中性子星の合体GW170817に付随して発見された、放射性物質に駆動されるキロノバは、重力波イベントに対してこれまで確認されている唯一の電磁波対応天体である。しかし、後期の電磁放射の観測結果は、標準的な中性子星合体モデルからの予測と一致しない。測定された放出物の大きな質量は、構成要素である星の質量に関して非対称な(すなわち質量比qが0.7〜0.8の)前駆天体系によって説明できる可能性があるが、銀河系内の合体中の2つの中性子星系(数十億年以内に合体することになる連星系)の種族は今のところ、ほぼ等質量(q > 0.9)の連星系しか知られてない。パルサーPSR J1913+1102は、離心率が小さく(0.09)、周期が5時間の軌道にある連星系で、その軌道間隔は太陽半径の1.8倍であり、2つの中性子星は重力波放射に起因して4.70+0.12−0.11億年で合体すると予測されている。本論文では、専用のパルサータイミング観測活動での測定結果に基づいて、このパルサーと伴星である中性子星の質量が、それぞれ太陽質量の1.62 ± 0.03倍と1.27 ± 0.03倍であることを報告する。この連星系は、測定された質量比がq = 0.78 ± 0.03と、これまでに報告された中で最も非対称な合体系である。今回の発見に基づいた種族合成解析から、こうした非対称性を持つ連星系は、合体中の全ての連星系種族の2〜30%(信頼水準90%)を占めると示唆された。この種族に属する天体の合体は、重力波イベントから観測されたキロノバ放射などの、GW170817の特異な特性を説明できる可能性がある。

