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古生物学:系統ゲノミクスと化石記録との折り合いをつけるカンブリア紀のクラウン群環形動物
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2384-8
環形動物は、待ち伏せ型捕食者、懸濁物食者、陸生の貧毛類といった全く異なる動物群で構成される、最も多様な動物門の1つである。環形動物の初期進化は今なお不明で議論の的となっているが、その一因は分子系統学的知見と化石記録との不一致にある。カンブリア紀の環形動物化石の形態は表在ベントス型の生活様式を示しているのに対し、系統ゲノミクス解析の結果は、初期に分岐したグレードとして固着性の埋在性タクソンおよび管住性タクソンを示している。モロテゴカイ類とチマキゴカイ類からなる古環形動物(Palaeoannelida)は他の全ての環形動物の姉妹群だが、生活様式および全体的形態の両面でカンブリア紀のタクソンとは大きく異なっている。本論文では、カンブリア紀の前期の滄浪鋪(Canglangpu)累層で発見され、Dannychaeta tucolusと命名された新種の化石多毛類について記載報告する。この標本は、もともとは有機質であった壊れやすい棲管の内部に保存されていた。頭部には明瞭なスペード形の口前葉があり、腹側側方に複数の長い副感触手が見られる。体には幅広で頑丈な胸部と長い腹部があり、薄板を伴う二枝型の疣足が複数認められる。こうした特徴の組み合わせは現生のモロテゴカイ類と共通しており、系統発生学的解析の結果、D. tucolusは古環形動物の内部に位置付けられた。我々の知る限り、D. tucolusはクラウン群環形動物に属することが明白な最古の多毛類であり、今回の結果は、環形動物の進化速度に制約を与えるとともに、太古の環形動物の生態および形態に関してこれまで認識されていなかった多様性を明らかにしている。

