植物科学:シロイヌナズナにおけるストリゴラクトンシグナル伝達の転写調節
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2382-x
ストリゴラクトンとして知られる植物ホルモンは、植物の成長に加えて、宿主植物と共生菌類や寄生雑草との相互作用を制御している。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)やイネでは、タンパク質のDWARF14(D14)、MORE AXILLARY GROWTH 2(MAX2)、SUPPRESSOR OF MAX2-LIKE 6(SMXL6)、SMXL7、SMXL8およびそれらのオルソログが、ストリゴラクトンの感知に際して複合体を形成し、ストリゴラクトンシグナル伝達に中心的な役割を担う。しかし、ストリゴラクトンが下流の転写を活性化するかどうか、するとすればどのように作用するのかについてはほとんど分かっていない。今回我々は、合成ストリゴラクトンを用いて、シロイヌナズナにおいて401個のストリゴラクトン応答遺伝子を特定し、これらの植物ホルモンが主にBRANCHED 1、TCP DOMAIN PROTEIN 1、PRODUCTION OF ANTHOCYANIN PIGMENT 1遺伝子の転写活性化を介して、シュートの分枝や葉の形状、アントシアニンの蓄積を調節していることを示す。シロイヌナズナゲノムでは、SMXL6は729個の遺伝子を標的としており、SMXL6、SMXL7、SMXL8のプロモーターに直接結合することでそれらの転写を抑制することが分かった。これは、SMXL6が自己調節転写因子として働き、ストリゴラクトンのシグナル伝達の恒常性を維持していることを示している。これらの知見は、高等植物では、ホルモンシグナル伝達の転写抑制因子がDNAを直接認識して転写を調節できるという、予想外の機構を明らかにしている。

