分子生物学:ヒト17S U2 snRNPの分子構造
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2344-3
U2核内低分子リボ核タンパク質(U2 snRNP)は、mRNA前駆体の分岐部位のアデノシン(スプライシングの第一段階に必要な求核物質)の選択に必須の役割を果たしている。スプライソソーム形成の初期にU2が安定に付加されるには、DEADボックスATPアーゼであるPRP5が必要である。酵母のU2核内低分子RNA(U2 snRNA)では、mRNA分岐部位と塩基対形成するヌクレオチドは、分岐部位と相互作用するステム–ループ(BSL)によって初めは隠されているが、ヒトU2 snRNAも同様な様式で折りたたまれているのかどうかは分かっていない。U2 SF3B1タンパク質は造血器腫瘍に広く見られる変異標的で、HEATドメイン(SF3B1HEAT)を含む。このドメインは、単離されたSF3bでは開いたコンホメーションをとっているが、スプライソソーム中では閉じたコンホメーションをとっていて、このコンホメーションはU2と分岐部位との安定な相互作用のために必要である。今回我々は、ヒト17S U2 snRNPの3Dクライオ電子顕微鏡構造を、コア部分の分解能4.1 Åで明らかにし、これをタンパク質架橋データと組み合わせて、このsnRNPの分子構造を決定した。得られた構造から、SF3B1HEATがPRP5およびTAT-SF1と相互作用すること、U2 snRNP中では開いたコンホメーションを保っていること、U2 snRNAがBSLを形成し、これがPRP5、TAT-SF1、SF3B1HEATの間に挟まれていることが明らかになった。従って、U2–分岐部位ヘリックスが形成されるには、BSLの形が著しく変化し、BSLと相互作用するタンパク質が取り除かれる必要がある。今回の研究によって、U2がスプライソソームに安定に付加される前にTAT-SF1が除去されなくてはならない理由が構造面から説明され、PRP5が促進するRNP再編成がU2と分岐部位の安定的な結合に必要なことが突き止められた。

