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生物物理学:光駆動ナトリウムポンプで起こるフェムト秒からミリ秒の速度での構造変化
Nature 583, 7815 doi: 10.1038/s41586-020-2307-8
光駆動ナトリウムポンプは、小型の陽イオンを細胞膜を横切って能動輸送する。このようなポンプは、微生物では光を膜電位に変換するのに使われており、神経科学では光遺伝学の有用なツールとなっている。海洋細菌の一種であるKrokinobacter eikastusのロドプシン2(KR2)は典型的なナトリウムポンプで、その静止状態の構造は解かれているが、経時的な構造変化によってナトリウムが濃度勾配に逆らって輸送される仕組みは明らかになっていない。今回、スイスX線自由電子レーザー(SwissFEL)を用いて、ポンプ–プローブ法で遅延時間をフェムト秒からミリ秒までの範囲で変えて10回の測定を行い、連続した結晶学的データを収集した。KR2の光サイクル全体にわたる高分解能構造スナップショットから、レチナール異性化がフェムト秒の時間スケールで完了し、最初の数ナノ秒で結合ポケットの局所構造が変化する様子が明らかになった。それに続いて起こる再配置とレチナールのシッフ塩基の脱プロトン化により、数ミリ秒のうちに静電気ゲートが開く。構造学的および分光学的データを量子化学計算と組み合わせることで、ナトリウムイオンが一時的に(1 ms以内)レチナール近傍に結合することが示された。活性化から20 ms後の時点で、最後の構造学的中間体中に、細胞外出口近くにある第二のナトリウム結合部位と思われるものが見つかった。これらの結果によって、生体膜を通過する陽イオン能動輸送の動態についての分子レベルの直接的知見が示された。

