Article

神経科学:隠された神経状態がカナリアのさえずりの統語構造の基盤となる

Nature 582, 7813 doi: 10.1038/s41586-020-2397-3

会話やダンスなどの協調運動技能は一連の動作からなり、そうした動作は、動作要素間の移行はそれ以前の動作の性質と順序に依存するという統語法に従う。カナリアのさえずりは、フレーズと呼ばれるシラブル(音節)の繰り返しからなり、これらのフレーズの順序は長時間域の規則に従っており、どのフレーズをさえずるかの選択は、何秒も前のさえずりの構造によって決まる。しかし、こうした長時間域の連関を支える神経基盤は分かっていない。今回我々は、頭部に装着できる小型顕微鏡と細胞タイプ特異的な遺伝的ツールを用いて、カナリアがそのレパートリー中のさまざまななフレーズを探索する際の前運動野神経核HVCの神経活動を観察した。その結果、4フレーズにわたり、最長4秒間40シラブルに及ぶ過去のさえずりの移行を符号化するニューロンが見つかった。これらのニューロンは、未来の動作ではなく過去の動作を選択的に符号化しており、1つ以上の過去のさえずりを反映することができ、主に過去のさえずりに依存する移行に関連するまれなフレーズ中に活動する。これらの知見は、HVCの動態には、現在実行中の行動に反映されないが以前の動作についての情報を担う「隠された状態」が含まれていることを示している。こうした状態は、長時間域規則に支配される統語構造の移行を制御する神経基盤である可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度