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生態学:ウミアザミ属のソフトコーラルにおける、細胞内共生を行う細胞タイプの系譜ダイナミクス
Nature 582, 7813 doi: 10.1038/s41586-020-2385-7
多くのサンゴは、体内に共生性の渦鞭毛藻を宿している。渦鞭毛藻はサンゴの細胞内のシンビオソームという特殊な膜区画に生息しており、光合成で固定した炭素を宿主であるサンゴ細胞と共有する一方、宿主細胞は渦鞭毛藻に光合成用の無機炭素を供給している。サンゴ礁生態系の維持に極めて重要なこの細胞内共生は、サンゴの白化(すなわち細胞内共生の崩壊)を招く環境ストレス要因によってますます脅かされており、こうした白化はさらにサンゴの死および海洋生態系の劣化につながっている。サンゴ細胞内で渦鞭毛藻の認識、取り込み、維持を統合する分子経路は、ほとんど明らかにされていない。今回我々は、成長の速いソフトコーラルであるウミアザミ属(Xenia)の1種に関して染色体レベルのゲノムアセンブリを行い、この種をモデルとして用いることで、サンゴと渦鞭毛藻の細胞内共生について調べた。単一細胞RNA塩基配列解読によって、このウミアザミ種には、胃層細胞や刺胞細胞など16種類の細胞クラスターが存在することが明らかになった。また、細胞内共生を行う細胞タイプが特定され、そうした細胞が、宿主のサンゴ細胞の免疫調節に加えて、渦鞭毛藻の認識、渦鞭毛藻のファゴサイトーシスやエンドサイトーシス、渦鞭毛藻の維持に関連付けられる一連の遺伝子を発現することが分かった。このウミアザミ種の再生と単一細胞RNA塩基配列解読を組み合わせることで、細胞内共生を行う細胞系譜の動的な経時的変化が観察された。今回明らかにされた細胞内共生に関連する保存された遺伝子群は、異なるサンゴでの細胞内共生者の取り込みや喪失に共通した原理の解明に役立つと考えられる。

