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ナノ科学:単一グリカンの画像化
Nature 582, 7812 doi: 10.1038/s41586-020-2362-1
生体分子の画像化によって、その多様な構造や機能を理解する指針が得られる。クライオ電子顕微鏡法を用いたサブナノメートル分解能での実空間画像化によって、タンパク質やタンパク質集合体に関する重要な知見が得られてきた。グリカン分子(多くの構造的・生物学的機能を持つ、地球上の主要な生体高分子)の直接画像化は、これまで不可能であった。グリカンは本質的に複雑で骨格が柔軟なため、実空間画像化には単一分子法が必要になる。現在、グリカンの特性評価では、サイズ、配列、分枝、結合性に関する知見を得るのに質量分析法と核磁気共鳴画像法の併用に頼ることが多く、そのため間接的な情報から構造を再構成する必要がある。今回我々は、単一グリカン分子の直接画像化について示す。我々は、グリカン分子を、質量選択的ソフトランディング・エレクトロスプレー・イオンビーム蒸着によって単離し、低温走査型トンネル顕微鏡法によって画像化した。このサブナノメートル分解能の手法によって、グリカンの結合性の可視化や位置異性体の識別が可能になった。グリカンの直接画像化は、糖質の構造のより良い理解への重要な一歩である。

