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健康科学:中国では人口流動がCOVID-19の時空間的分布を駆動した

Nature 582, 7812 doi: 10.1038/s41586-020-2284-y

突然の大規模で拡散的なヒトの移動は、疾患の局地的なアウトブレイク(集団発生)をより広範なエピデミック(大流行)へと増幅する場合がある。そのため、人口流動の総計を迅速かつ正確に追跡することは、疫学的に有益と考えられる。本研究では、2020年1月1日~1月24日に武漢市を出たり通過して中国本土全域の296地級市へと移動した人々の携帯電話データ1147万8484件を用いた。我々は第一に、移動停止に対する隔離の有効性を明らかにする。第二に、武漢市からの人口流出の分布によって、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の相対度数および地理的分布を、中国本土全域で2020年2月19日まで正確に予測できたことを示す。第三に、確定例の分布の予測に加えて伝播リスクが高い地域を初期段階で特定するための、人口流動データを利用する時空間的「リスク源」モデル(エピデミックの中心地から広がるリスクを操作可能)を開発した。第四に、このリスク源モデルを使って、武漢市からの人口流出に基づきCOVID-19の地理的拡大および感染拡大パターンを統計的に導き出した。このモデルからは、異なる地域におけるCOVID-19の市中感染リスクを経時的に評価するための基準となる傾向および指数が得られた。今回の手法は、利用可能なデータを有する全ての国の政策立案者が使用でき、これによって、迅速かつ正確なリスク評価を行い、限られた資源の配分を進行中のアウトブレイクに先立って計画することができる。

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