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発生生物学:単一細胞トランスクリプトミクスと空間的トランスクリプトミクスから、ガストルロイドでの体節形成の様子が明らかになった

Nature 582, 7812 doi: 10.1038/s41586-020-2024-3

ガストルロイドは、胚性幹細胞が三次元的に集合した凝集体で、胚葉の指定や胚軸組織化など、着床後の哺乳類の発生に関する重要な特徴を示す。これまでに、ガストルロイドでの発現パターンが顕微鏡で調べられている遺伝子はごく少数であり、ガストルロイドでのゲノム規模の発現パターンが胚での発現パターンとどの程度類似しているのかは不明である。今回我々は、単一細胞RNA塩基配列解読と空間的トランスクリプトミクスを用いて、マウスのガストルロイドとマウス胚を比較した。その結果、ガストルロイドではこれまで存在することが知られていなかったさまざまなタイプの胚細胞が特定され、体節形成の重要な調節因子が、胚でもガストルロイドでも同様に発現していることが示された。また、ライブ画像化によって、体節形成時計がガストルロイドで活性を持ち、in vivoとよく似た動態を示すことが明らかになった。ガストルロイドは大量に成長させることが可能なため、我々は小規模なスクリーニングを行い、FGFシグナル伝達の抑制が胚で短い尾の表現型を誘導する仕組みを明らかにした。さらに我々は、ガストルロイドをマトリゲル中に埋め込むことで、正しい吻側–尾側パターンを持つ体節が形成され、このパターンが前方から後方へと経時的に出現することを実証する。従って今回の研究は、ガストルロイドが、発生と体節形成をin vitroでハイスループットな方法で調べるためのモデル系として非常に有用であることを示している。

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