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化学:励起状態コヒーレンスを利用する超高速ダイナミクスの合成制御

Nature 582, 7811 doi: 10.1038/s41586-020-2353-2

励起状態ダイナミクスの設計固有の制御は、光を化学ポテンシャルへ変換しようとするいかなる応用においても必要である。そうした制御は、地球に豊富に存在し、太陽エネルギーの変換や触媒作用などの広範な光誘起電子移動の応用に対する1つの選択肢である鉄(ii)系発色団では特に望ましい。しかし、こうした化合物で通常見られる酸化還元活性な金属–配位子電荷移動(MLCT)励起状態の寿命は200フェムト秒未満であるため、その広範な使用が大いに妨げられている。今回我々は、鉄(ii)錯体のMLCT寿命を、励起状態の量子コヒーレンスからの情報をMLCTの減衰に伴う反応座標を妨害し得る合成的修飾を行う指針として用いて操作できることを示す。我々は、構造を調整できる分子プラットフォームを開発し、そこで、鉄(ii)錯体のMLCT励起後に超高速時間分解吸収測定において振電コヒーレンス(振動自由度と電子自由度の結合を反映したコヒーレンス)を観測した。さらに我々は、これらのコヒーレンスを伴う振動モードの可視化に次いで、鉄(ii)発色団を合成的に修飾し、こうした特定の原子運動を妨げた。再設計された化合物のMLCT寿命は親化合物の寿命より20倍以上長く、これは、構造修飾がこれらの自由度を、系の電子状態発展に伴う集団ダイナミクスから少なくとも部分的に切り離したことを示している。今回の結果は、励起状態のコヒーレンスデータを使うことで、目的の合成設計を通して励起状態の超高速ダイナミクスを調節できる可能性を実証している。

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