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神経科学:視床下部発生の分子的設計図

Nature 582, 7811 doi: 10.1038/s41586-020-2266-0

脊椎動物では、最も基本的で必要な生理学的制御を支配する特別な神経内分泌システムが、視床下部内に組み込まれている。それにもかかわらず、視床下部の発生の時間的・空間的スケールに沿ったニューロンやグリア細胞の多様性を決定する分子情報を統合した発生学的設計図を、我々は得ていなかった。今回我々は、マウス外胚葉に由来する5万1199個の細胞の単一細胞ごとのRNA塩基配列解読、ゲノム規模関連研究に基づく疾患表現型解析と連結した遺伝子調節ネットワーク(GRN)スクリーニング、遺伝学的細胞系譜の再構築を組み合わせて、妊娠中期までに、異なるGRNの制御下で9つのグリア細胞サブタイプと33のニューロンサブタイプが生み出されることを示す。複数の神経伝達物質、複数の神経ペプチド、複数の転写因子の組み合わせからなる分子暗号が、視床下部ニューロンの細胞分類学的な階層性を構築するために最低限必要であった。γ-アミノ酪酸(GABA)作動性ニューロンとドーパミン作動性ニューロンの分化はほぼ安定な中間状態を経て起こり、GABA作動性ニューロン前駆細胞のプールがドーパミン作動性ニューロンを生み出していたが、グルタミン酸作動性ニューロンの分化はこの系とは異なっていた。また、視床下部背側(皮質)の組織パターン形成では、走化的な細胞増殖と走化的な軸索伸長の指令の関与が予想外に多いことが分かった。特に、SLIT–ROBOシグナル伝達を喪失させると、脳室周囲のドーパミンニューロンの生成と配置の両方が共に損なわれた。以上のように、我々はこの研究により視床下部の発生学的構造を形作る分子的法則を特定し、異なる神経細胞種の不均一混合系が多くの機能を持つ統合的神経組織へと変換され、動物個体の生涯を通じて事実上無限の適応可能性を提供する仕組みを示している。

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