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物性物理学:堅牢な超疎水表面の設計

Nature 582, 7810 doi: 10.1038/s41586-020-2331-8

超疎水表面の乾燥維持能、自浄能、生物付着防止能は、バイオテクノロジー、医学、熱伝達への応用に魅力的である。超疎水表面と接触する水滴は、見かけの接触角が大きく(150°を超える)、転落角が小さい(10°未満)必要がある。これは、低表面エネルギー性の化学的性質やマイクロスケールまたはナノスケールの表面粗さを持ち、液体と固体表面との接触が最小限となる表面において実現できる。しかし、総面積のごく一部のみが液体と接触する粗い表面は、機械的負荷の下で高い局所圧力を受けるため、脆弱で摩耗の影響を非常に受けやすくなる。その上、摩耗によって下地材料が露出し、表面の局所的性質が疎水性から親水性に変化する可能性があり、これは水滴の表面へのピン止めにつながる。そのため、機械的堅牢性と撥水性は相いれない表面特性だと考えられてきた。今回我々は、堅牢な超疎水性が、異なる2つの長さスケールで表面構造を形成し、ナノ構造設計で撥水性を、マイクロ構造設計で耐久性を付与することによって実現できることを示す。マイクロ構造は「ポケット」を有する相互接続した表面フレームで、ポケットの中には高撥水性で機械的に脆弱なナノ構造が組み込まれている。この表面フレームが「よろい」として機能し、ナノ構造がフレームサイズよりも大きな研磨材によって除去されるのを防ぐ。この設計戦略をシリコン、セラミックス、金属、透明ガラスなどのさまざまな基板に適用したところ、得られた超疎水表面の撥水性が、紙やすりや鋭い鋼の刃でこすった後でさえ維持されることが示された。我々は、この透明で機械的に堅牢な自浄性ガラスが、太陽電池の効率低下につながるダスト汚染問題を打ち消すのに役立つ可能性があると提案する。また、今回の設計戦略は、過酷な動作環境において効果的な自浄能、防汚能、熱伝達能を維持する必要がある他の材料の開発の指針となる可能性もある。

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