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がん:同一がん遺伝子内の複数変異の全体像と機能
Nature 582, 7810 doi: 10.1038/s41586-020-2175-2
同一がん遺伝子内に複数のドライバー変異(MM)が生じるがん症例は従来散発的に報告されてきた。しかし、MMの全体像や関連性は分かっていない。今回我々は、6万954のがん試料のがん種横断的解析を行い、MMが期待値よりも高頻度に生じる、がん種横断的な14がん遺伝子およびがん種特異的な6がん遺伝子を突き止めた。これらの遺伝子に少なくとも1つの変異を有する試料の9%はMMを有していた。さまざまながん遺伝子において、MMは同一染色体上(シス)に選択的に存在しており、変異の種類(ミスセンス変異対インフレーム挿入欠失)、部位、アミノ酸置換の点で、単独変異と比較して著しく異なる変異パターンを示すことから、変異選択におけるシス作用性効果があると考えられる。MMには、機能的に弱く低頻度の変異が多く認められるが、これらの変異は組み合わせで存在することにより強いがん化能を示す。PIK3CA遺伝子やNOTCH1遺伝子にMMを有する細胞は、単独変異を有する細胞よりも、当該遺伝子への依存度が高く、下流シグナル伝達の活性化が亢進しており、阻害剤に対してより高い感受性を示した。以上のように、がん遺伝子内のMMは比較的よく認められるドライバー異常であり、個々としてはまれだが全体としてはかなりの割合を占めるマイナーながん遺伝子変異のクローン選択機構が示された。

