ナノスケール材料:高指数ファセットを持つ大型単結晶銅薄膜の種結晶成長
Nature 581, 7809 doi: 10.1038/s41586-020-2298-5
さまざまなファセット指数を持つ大型単結晶金属薄膜は、材料科学において、結晶エピタキシー、触媒反応、エレクトロニクス、熱工学に応用できる可能性があるため、その作製がかねてから求められてきた。どの金属においても、低指数ファセットは3組({100}、{110}、{111})しか存在しない。これに対し、高指数ファセットは原理的には無限に存在し、より豊かな表面の構造や特性をもたらす可能性がある。しかし、高指数ファセットは、熱力学的にも動力学的にも低指数ファセットより不利なため、高指数ファセットを持つ単結晶薄膜を制御して作製することは困難である。今回我々は、サイズが約30 × 20 cm2で30種類以上のファセットを持つ単結晶銅薄膜のライブラリーを構築するための、種結晶成長法について報告する。多結晶銅薄膜を温和な条件で事前に酸化した後、還元雰囲気中でアニーリングすることで、薄膜のほぼ全面を覆う、数メートルの長さまで成長可能な高指数の銅ファセットが成長した。結晶成長におけるファセットの選択では通常、表面エネルギーの最小化が主要な決定要因となるが、今回の薄膜表面では酸化物表面層が形成されるため、表面エネルギーの最小化はファセット選択の主要な決定要因とはならない。そうではなく、ファセットの選択は(その表面エネルギーにかかわらず)最大結晶粒のファセットによってランダムに決まり、最大結晶粒がより小さな結晶粒を消費することで粒界を除去していく。今回の高指数薄膜は、他の銅薄膜を面内方向または面外方向へと成長させる種結晶として用いることができる。我々は、今回の手法が高指数の単結晶ニッケル薄膜の成長にも適用できることを示すとともに、今回の高指数銅薄膜を二次元材料のエピタキシャル成長の基板として使用できる可能性を検討した。他の応用としては、選択的触媒反応、低インピーダンス電気伝導、熱放散が予想される。

