Article
材料科学:量子効率がほぼ100%の光触媒的水分解
Nature 581, 7809 doi: 10.1038/s41586-020-2278-9
微粒子光触媒を用いる水の完全分解(水素と酸素が2:1の化学量論比で発生)は、大規模かつ経済的に実現可能な太陽光水素製造を達成する手段となり得る。高い太陽エネルギー変換効率を得るには、光触媒反応の量子効率を広い波長範囲にわたって増大させなければならず、狭バンドギャップ半導体を設計する必要がある。しかし、既存の光触媒を用いた完全水分解に関する量子効率は、通常10%未満である。そのため、大きなエネルギー蓄積型反応である水の完全分解において、微粒子光触媒によって100%の量子効率が可能になるかどうかは、分かっていなかった。今回我々は、修飾したアルミニウムドープチタン酸ストロンチウム(SrTiO3:Al)光触媒を用いて、350~360 nmの波長において最高96%の外部量子効率(ほぼ100%の内部量子効率に相当する)での完全水分解を実証する。内部電場を用いた異方的な電荷輸送で半導体粒子の異なる結晶表面上に水素発生反応用助触媒Rh/Cr2O3と酸素発生反応用助触媒CoOOHを選択的に光析出させることによって、水素発生反応と酸素発生反応を別々に促進させることができた。これによって、逆反応を起こさせずに多段階の連続的な順方向電荷移動が可能になり、完全水分解の量子効率の上限に達することができた。今回の研究は、微粒子触媒上での電荷再結合損失のない完全水分解の実現可能性を実証するとともに、高効率水分解に理想的な助触媒/光触媒構造設計のための指針を提示するものである。

