免疫学:細菌による胆汁酸の代謝によって末梢制御性T細胞の生成が促進される
Nature 581, 7809 doi: 10.1038/s41586-020-2193-0
腸の健康は、CD4+制御性T(Treg)細胞の免疫抑制活性に依存している。転写因子Foxp3の発現は、Treg細胞系譜を定義し、食餌あるいは共生細菌由来の抗原によって胸腺外において誘導でき、この過程はCNS1(conserved non-coding sequence 1)として知られるFoxp3エンハンサーに補助される。酪酸を含む微生物発酵産物は、末梢で誘導されるTreg(pTreg)細胞の生成を促進することから、代謝物が大腸の免疫細胞集団の構成を形作ることが示されている。細菌は、食餌成分に加えて、宿主由来の分子も修飾し、生物学的活性を持つ多くの物質を作り出す。その代表例が細菌による胆汁酸の変換であり、これによってさまざまな生理的機能を持つステロイドの複雑なプールが作り出される。今回我々は、pTreg細胞の分化を増強する能力について、脱抱合された胆汁酸の主要な種のスクリーニングを行った。その結果、二次胆汁酸である3β-ヒドロキシデオキシコール酸(isoDCA)が、樹状細胞(DC)に作用してFoxp3誘導を増強し、その免疫刺激特性を減弱させることが分かった。DCにおいて核内受容体の1つであるファルネソイドX受容体を除去すると、Treg細胞の誘導が促進され、isoDCAによって誘導されるのと類似した転写プロファイルが生じたため、この胆汁酸と核内受容体との相互作用が示唆された。in vivoでのisoDCAについて調べるため、我々は合成生物学的手法によって、バクテロイデス属(Bacteroides)の改変株を含む、最小限の微生物コンソーシアムを設計した。isoDCA産生コンソーシアムは、大腸のRORγを発現するTreg細胞の数をCNS1依存的に増加させたことから、胸腺外分化の増強が示唆された。

