ナノスケール材料:魔法角グラフェンにおけるねじれ角の乱れとランダウ準位のマッピング
Nature 581, 7806 doi: 10.1038/s41586-020-2255-3
魔法角ねじれ2層グラフェン(MATBG)において最近発見されたフラット電子バンド、強相関相、超伝導相は、層間ねじれ角θに大きく依存する。約0.1°の精度での大域的なθの制御が実証されているが、局所的なねじれ角の分布に関する情報はほとんど得られていない。今回我々は、ナノスケールのオンチップ走査型超伝導量子干渉計(SQUID-on-tip)を用い、六方晶窒化ホウ素(hBN)に挟まれたMATBGデバイスにおいて、0.002°より優れた相対精度と数モアレ周期の空間分解能で、量子ホール状態のランダウ準位のトモグラフィー像を得るとともに、局所的なθの変動をマッピングした。その結果、θの乱れの程度とMATBGの輸送特性の質との間に相関が見いだされ、相関状態、ランダウファン、超伝導を示す最先端のデバイスであっても、θの局所的変動は最大0.1°と大きく、θの勾配が大きい箇所や、θの急変部がネットワーク状に広がっている箇所があり、局所的なMATBG挙動を示さない領域を含んでいる可能性があることが明らかになった。我々は、MATBGにおける相関状態が、ねじれ角の乱れに対して特に脆弱であることを見いだした。また我々は、θの勾配が、金属領域でも遮蔽されないゲート調整可能な面内電場を生じさせることも示す。こうした電場は、試料のバルクにおいてエッジチャネルを形成させることで量子ホール状態を大きく変化させ、相関状態や超伝導状態の相図に影響を及ぼす可能性がある。このように我々は、バンド構造の操作、相関現象の実現、デバイス応用向けのゲート調整可能な固有の平面電場の生成のために、ねじれ角勾配を用いることを可能にする非従来型の乱れとして、θの乱れの重要性を立証した。

