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精密測定:ペニングトラップ質量分析法による準安定電子状態の検出
Nature 581, 7806 doi: 10.1038/s41586-020-2221-0
最先端の光時計は、光格子中の原子集団や、高周波トラップ中の個々のイオンを使って、10−18以上の精度に達している。原子時計での使用に有望な候補に、多価イオン(HCI)と原子核の遷移があり、これらは外部摂動の影響をほとんど受けず、周波数コムに利用できる光領域を超える波長に達する。しかし、原子構造の計算の正確さが不十分であることから、HCIの適切な遷移の特定が妨げられている。本論文では、レニウムの基底状態と励起状態の質量差を測定することによって、HCIの長寿命の準安定電子状態を観測したことを報告する。これによって、電子励起エネルギーの非破壊的な直接決定が可能になった。得られた結果は、先進的な計算と一致していた。我々は、高精度のペニングトラップ質量分析計PENTATRAPを使って、このイオンの準安定状態に対する基底状態のサイクロトロン周波数比を10−11の精度で測定した。この精度は、以前の測定結果に比べて10倍改善されている。4.96×1016 Hz(202 eVの遷移エネルギーに相当する)での実現可能な軟X線周波数基準は約130日という寿命を持ち、その線幅はわずか5 × 10−8 Hzで、電気的Q値は1024と、これまで実験的に測定された中で最大級であった。不確かさの小さい今回の方法によって、基礎物理の高精度研究に必要な、HCIにおけるさらなる軟X線時計遷移の追求が可能になる。

