Article

化学:一般的なコロイドからのイオン性固体の形成

Nature 580, 7804 doi: 10.1038/s41586-020-2205-0

岩塩からナノ粒子超格子まで、クーロン力で引き付け合う単純な構成要素から、複雑な構造が出現することがある。しかし、マイクロメートルスケールでは、水中のコロイドは、逆の電荷を持つコロイド同士が結晶を形成するという直観的に単純な考えに従わず、クラスターやゲルなどの非平衡構造を形成する。二成分結晶を成長させるさまざまな系が設計されてきたが、水性条件における固有の表面電荷が結晶材料の集合化に用いられてはこなかった。今回我々は、「ポリマーによって弱められたクーロン力による自己集合(polymer-attenuated Coulombic self-assembly;PACS)」と我々が呼ぶ手法で、水中においてイオン性コロイド結晶を形成した。結晶化のカギは、中性ポリマーを使用して粒子同士が特定の距離だけ離れた状態を維持することである。これによって、引力による電気二重層の重なりを調節でき、必要に応じて粒子を分散、結晶化、永続的に固定化することができるようになる。巨視的な単結晶の核生成と成長は、デバイ遮蔽長を用いて集合化を微調整することによって実証された。また、さまざまなコロイド粒子と市販のポリマーを用いることによって、塩化セシウム、塩化ナトリウム、二ホウ化アルミニウム、K4C60と同形構造のイオン性コロイド結晶が、粒子サイズ比に従って選別された。塩溶液を単に希釈して固定化することで、結晶が水から引き出されてさらなる操作が可能となり、これによって溶液相集合体から乾燥固体構造体への精密な変換が実証された。粒子を丁寧に設計して結合情報をコードする必要のある他の集合化方法とは異なり、PACSは、従来のコロイドをすぐに結晶化するモデルコロイドイオンとして用いることができる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度