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神経回路:糖質嗜好性を仲介する腸–脳軸
Nature 580, 7804 doi: 10.1038/s41586-020-2199-7
糖質の味は、ヒトなどの動物にとって最も基本的な知覚対象の1つである。動物は、甘味受容体が欠損していても、糖質への強い嗜好性を発達させることができ、これは味覚とは別の機構が存在することを意味する。今回我々は、糖質嗜好性の神経基盤を調べ、迷走神経節と脳幹の一部のニューロンが腸–脳軸を介して活性化し、糖質嗜好性を生み出すことを実証する。これらのニューロンは、糖質に応答して刺激を受けるが人工甘味料には応答せず、糖質の腸への直接投与によって活性化する。機能的画像化法を用いて腸–脳軸の活動を監視したところ、グルコースの腸内投与が迷走神経ニューロンを活性化することが明らかになった。次に、この腸から脳への神経回路のシナプス活動を遺伝的に抑制したマウスを作出したところ、糖質に対する行動嗜好性の発達が阻害された。さらに、この回路を化学遺伝学的に借用すると、嗜好効果の低い刺激に対しても嗜好性を作り出すことができた。これらの知見を総合すると、摂取後の糖を感知する腸–脳間経路が糖質嗜好性の発達に重要であることが明らかになった。また、人工甘味料と糖質の行動上の影響に違いが見られることについての神経基盤が解明され、糖質の欲求性の高い作用の背景にある重要な神経回路が判明した。

