細胞分裂:セパラーゼが引き起こすアポトーシスは、有糸分裂にかける最短時間を決めている
Nature 580, 7804 doi: 10.1038/s41586-020-2187-y
有糸分裂にかかる時間が長くなるとアポトーシスにつながることが多いが、時間が短くなると腫瘍発生に関係する異数性の原因となる。しかし、この場合にもアポトーシス装置の活性化が起こるかどうかは不明である。システインプロテアーゼであるセパラーゼは、あらゆる真核生物の細胞周期後期への移行の引き金となる。セパラーゼはカスパーゼに似た触媒ドメインを持つが、細胞死には関連しないとこれまで考えられてきた。今回我々は、セパラーゼがすでに活性化された状態で有糸分裂に入ったヒト細胞は、抗アポトーシス作用を持つMCL1とBCL-XLがセパラーゼによって直接切断されるために、有糸分裂中に速やかに細胞死することを明らかにする。MCL1とBCL-XLの切断は、それらがアポトーシス促進作用を持つBAKを隔離するのを妨げるだけでなく、それらを有糸分裂中の細胞死の促進因子に変換する。我々のデータは、致死性の最も高い切断断片はMCL1のC末端側の半分であり、ミトコンドリア外膜にBAK/BAX様の小孔を形成することを強く示唆している。MCL1とBCL-XLがセパラーゼの基質となるのは、NEK2Aによってリン酸化された場合に限られる。従って、セパラーゼが後期にスケジュール通りに活性化された際にアポトーシスを防ぐには、有糸分裂初期にこのキナーゼNEK2Aが分解されることが極めて重要である。紡錘体形成チェックポイントが働かなくなって有糸分裂が加速すると、NEK2Aとセパラーゼの酵素活性が一時的に重複し、その結果として細胞死が起こる。このように、NEK2Aとセパラーゼは、連携して紡錘体形成チェックポイントの完全性を確認し、有糸分裂初期段階での進行が加速されたことで染色体分離異常を起こしやすくなった細胞を排除していると考えられる。

