細胞分裂:チェックポイントに誘導されるshugoshin–MAD2による、セキュリン非依存性のセパラーゼ調節
Nature 580, 7804 doi: 10.1038/s41586-020-2182-3
細胞周期中に起こる真核細胞姉妹染色分体の分離は、紡錘体形成チェックポイント(SAC)によってタイミングが計られていて、接着を仲介しているコヒーシンをセパラーゼが切断することで開始される。中期でのSACのサイレンシングによって、ユビキチンリガーゼAPC/C(分裂後期促進複合体;別名サイクロソーム)が活性化し、セパラーゼの阻害因子であるセキュリンのプロテアソームによる分解が引き起こされる。セキュリンが存在しなくても、哺乳類の染色体は予定通りに分離するが、このような条件下でセパラーゼが調節される仕組みは分かっていない。shugoshin 2(SGO2)は、減数分裂に役割を果たすコヒーシンに不可欠の保護因子だが、体細胞での機能は分かっていない。今回我々は、ヒトSGO2は、SACの活性化されたMAD2に結合するとセパラーゼ阻害因子に変わることを示す。SGO2–MAD2はセキュリンと機能的に交換可能であり、セキュリンノックアウト細胞ではほとんどのセパラーゼを捕捉する。セキュリンとSGO2が急性に失われると、セパラーゼの脱調節が引き起こされ、コヒーシンの時期尚早な切断と細胞毒性が生じるが、セキュリンとSGO2のどちらか一方だけが失われた場合にはこうした結果にはならない。SGO2は、セキュリンと同様に偽基質配列を用いてセパラーゼの活性部位を遮断する競合的阻害因子である。in vitroでは、APC/C依存性のユビキチン化、またはAAA-ATPアーゼであるTRIP13とMAD2特異的アダプターp31cometを組み合わせた作用によって、SGO2–MAD2からセパラーゼが遊離する。TRIP13とp31cometからなる機構は、APC/C活性のないセキュリンノックアウト細胞で、姉妹染色分体分離をかなりの程度まで促進する。従って、我々の結果によって、有糸分裂中の細胞でのSGO2の予想外の機能と、セキュリン非依存性だがSACによる監視は行われているセパラーゼ調節機構が明らかになった。

