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原子物理学:極低温分子の衝突冷却

Nature 580, 7802 doi: 10.1038/s41586-020-2141-z

ボース・アインシュタイン凝縮体の最初の研究以来、原子の量子縮退ガスを使うことで、物性物理学や核物理学における重要な系の量子エミュレーションだけでなく、他の物理学分野には似たものが無い、多体状態の研究が可能になった。マイクロケルビン領域やナノケルビン領域の極低温分子は、原子と比べて内部自由度が豊富なため、量子エミュレーションや量子コンピューティングの性能を高めるとともに、精密測定や量子化学の研究を促進すると期待されている。極低温原子の量子ガスは、蒸発冷却などの衝突に基づく冷却方式を使って生成できるが、極低温分子の熱化と衝突冷却はまだ実現されていない。超音速ジェットや極低温緩衝ガスを用いるなどの他の手法で到達できる温度は、10 mK以上が限界である。今回我々は、NaLi分子を、極低温Na原子との衝突によってマイクロケルビンやナノケルビンの温度へ冷却して、伸びた超微細スピン状態の分子と原子の両方を生成したことを示す。分子–原子間の非弾性衝突に対する弾性衝突の比の下限は50以上と、持続的な衝突冷却を維持するのに十分なほど大きいことが見いだされた。我々は、2段階蒸発を利用して、分子の位相空間密度を20倍高め、220 nKという低い温度を達成した。Na–NaLi系の有利な衝突特性によって、深く量子縮退した双極分子を生成できる可能性があり、他の分子の冷却に伸びたスピン状態を使える可能性が高まると考えられる。

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