免疫学:IL-15、グルテン、HLA-DQ8はセリアック病における組織破壊を誘導する
Nature 578, 7796 doi: 10.1038/s41586-020-2003-8
セリアック病は、食餌中のグルテンへの曝露によって引き起こされる複雑な多遺伝子性の炎症性腸症であり、HLA-DQ8かHLA-DQ2のどちらかのハプロタイプを発現する、遺伝的に感受性があるヒトの一部で生じる。食餌療法以外の治療法を開発する必要性は現在広く認識されているが、グルテンやHLAに依存した病態生理学的に関連性のある前臨床モデルは存在しない。また、ヒトでの研究によって、セリアック病の発症機序に関する理解に大きな進展がもたらされてきたが、組織損傷の発生において、疾患素因となるHLA分子の役割や、適応免疫と自然免疫のそれぞれの役割は、直接的には証明されていない。今回我々は、活動期のセリアック病の特徴である腸上皮と粘膜固有層でのインターロイキン15(IL-15)の過剰発現を再現し、素因となるHLA-DQ8分子を発現して、グルテン摂取後に絨毛の萎縮を生じるマウスモデルを報告する。絨毛の萎縮には上皮と粘膜固有層の両方におけるIL-15の過剰発現が必要であり、これは、セリアック病の発症原因におけるIL-15の部位依存的な中心的役割を証明している。加えて、CD4+ T細胞とHLA-DQ8は、腸上皮細胞の溶解を仲介する細胞傷害性T細胞のライセンシングに非常に重要な役割を担っている。さらに我々は、組織破壊におけるサイトカインのインターフェロンγ(IFNγ)と酵素のトランスグルタミナーゼ2(TG2)の役割を実証する。このマウスモデルは、グルテン、遺伝学的性質、そしてIL-15駆動性の組織炎症の間の複雑な相互作用を反映させることによって、セリアック病に対する我々の理解を深め、新たな治療戦略を開発するための機会をもたらす。

