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がん:解糖の細胞骨格構造を介する機械的調節

Nature 578, 7796 doi: 10.1038/s41586-020-1998-1

細胞内微小環境の力学的特性は、成長や生存、アポトーシス、分化、形態形成といった細胞機能を、細胞骨格のリモデリングやアクトミオシンの収縮性を介して絶えず調節している。これらの過程全てでエネルギーが消費されるが、細胞がその代謝活動をさまざまな機械的合図に適応させているのかどうか、またその仕組みがどのようなものかは解明されていない。今回我々は、ヒト気管支上皮細胞を硬い基質面上から柔らかい基質面上へと移動させると、代謝の律速酵素であるホスホフルクトキナーゼ(PFK)がプロテアソームで分解されて、それにより解糖が抑制されることを明らかにする。PFK分解はストレスファイバーの崩壊によって引き起こされ、この崩壊によってPFKを標的とするE3ユビキチンリガーゼのTRIM(tripartite motif)含有タンパク質21(TRIM21)が遊離する。形質転換した非小細胞肺がんの細胞では、環境の力学的特性の変化とは無関係に高い解糖速度が維持されており、TRIM21の下方調節と残ったTRIM21を基質面の硬さに感受性を示さないストレスファイバーサブセット上へと隔離することによって、PFK発現が保持されている。これらのデータは、解糖がアクトミオシン細胞骨格の構造特性に応答して、細胞の代謝を周囲の組織の力学的特性と連携させる機構を明らかにしている。このような過程によって、正常細胞は変わりやすい微小環境内でのエネルギー生産を微調整できる。一方、がん細胞では、細胞骨格が機械的合図への応答に抵抗性を示すため、腫瘍組織が常時変化しているにもかかわらず高い解糖速度を維持することができる。

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