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遺伝学:イネの遺伝子発現に働く自然選択の強度とパターン
Nature 578, 7796 doi: 10.1038/s41586-020-1997-2
生物の表現型は遺伝子発現のレベルに基づいているが、遺伝子発現に働く選択の性質およびその適応進化における役割は、いまだ明らかにされていない。今回我々は、イネ(Oryza sativa)で遺伝子発現を分析し、表現型選択解析を用いて、1万5000種類を超える転写産物のレベルに働く選択のタイプおよび強度を推定した。湿潤水田条件で大多数の転写産物に見られる多様性は、安定化選択が(ほぼ)中立的または非常に弱いことを示すようであるのに対し(標準化選択差の中央値がほぼゼロ)、乾燥条件ではこうした選択がより強かった。全体的に、拮抗する多面発現的な転写産物(0.04%)よりも条件的に中立的な転写産物(2.83%)の方が多く、発現レベルと確率論的ノイズが低いほど、また可塑性レベルが高いほど、転写産物はより強い選択を受けていた。選択の強度はさらに、シス調節およびネットワーク接続性のレベルと負に弱く関連していた。多変量解析からは、選択が光合成遺伝子の発現に働く一方、乾燥条件では選択の効果が遺伝的制約を受けることが示唆された。乾燥による選択は、花成の早期化と、MADSボックス転写因子をコードする遺伝子で早期花成に関する既知の調節因子であるOsMADS18(Os07g0605200)の発現上昇に有利に働くことが分かり、この遺伝子が乾燥逃避性の遺伝子であることが示された。選択の強度を推定できる能力は、選択が遺伝子作用の中核をなす分子的形質をどのようにして形作るのかについて手掛かりをもたらす。

