細胞生物学:TLR9とベクリン1のクロストークが運動時の骨格筋AMPKの活性化を調節する
Nature 578, 7796 doi: 10.1038/s41586-020-1992-7
骨格筋でのAMPK(AMP-activated protein kinase)の活性化は、運動に対して全身の代謝応答を協調させる。オートファジー(細胞の恒常性を維持するリソソームでの分解経路)は、運動中に上方調節され、骨格筋でのAMPK活性化にはオートファジーの中心的タンパク質であるベクリン1が必要である。今回我々は、運動によって誘発される骨格筋でのAMPKの活性化における、自然免疫センサー分子であるToll様受容体9(TLR9)が担う役割と、TLR9とベクリン1との相互作用を明らかにする。TLR9を欠失したマウスでは、骨格筋での運動誘発性のAMPK活性化とグルコース輸送体GLUT4の細胞膜局在化の両方がうまく起こらなかったが、オートファジーに異常は見られなかった。TLR9はベクリン1に結合し、この結合はエネルギーストレス(グルコース飢餓や持久運動)によって増加し、BCL2とベクリン1の結合の破壊を妨げるBCL2変異によって減少した。TLR9は、運動中に骨格筋で、エンドリソソームのホスファチジルイノシトール3-キナーゼ複合体(PI3KC3-C2;ベクリン1とUVRAGを含む)の集合を調節しており、ベクリン1あるいはUVRAGをノックアウトすると、グルコース飢餓によって誘発される細胞のAMPK活性化が阻害された。さらにTLR9は、ex vivoにおける収縮誘発性のAMPK活性化、グルコース取り込み、ベクリン1–UVRAG複合体の集合において筋自律的な様式で機能していた。これらの知見によって、自然免疫センサーであるToll様受容体が、運動中の骨格筋のAMPK活性化やグルコース代謝においてこれまで知られていなかった役割を持つこと、そしてこの受容体とオートファジータンパク質の間に予想外のクロストークがあることが明らかになった。

