Article
がん:頭頸部がんにおけるp53の喪失はニューロンの再プログラム化を促す
Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-020-1996-3
固形腫瘍の微小環境には、末梢神経系から生じる神経繊維が含まれている。最近の研究で、新たに形成されたアドレナリン作動性神経繊維は腫瘍増殖を促進することが示されているが、これらの神経の起源や、神経繊維発生の開始機構については不明である。今回我々は、口腔がんのマウスモデルにおいて、がんに関連した三叉神経感覚ニューロンと内在性の三叉神経感覚ニューロンのトランスクリプトームの比較を行い、アドレナリン作動性ニューロンの分化シグネチャーを見いだした。TP53の喪失は、マイクロRNA miR-34aの喪失を介して、腫瘍関連感覚神経のアドレナリン作動性への分化転換を引き起こすことが分かった。腫瘍増殖は、感覚神経の除去やアドレナリン作動性受容体の薬理学的阻害によって抑制されたが、元々存在していた交感神経のアドレナリン作動性ニューロンを化学的に除去しても抑制されなかった。口腔がん試料を用いた後ろ向き解析では、p53の状態は神経密度と関連があり、その後の臨床転帰不良とも関連していることが明らかになった。がん細胞とニューロンの間の相互作用とは、腫瘍関連ニューロンをアドレナリン作動性表現型へと再プログラム化することで腫瘍の進展を促す機構であり、抗がん治療における有望な標的となる。

