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進化学:爬虫類の前障とその徐波睡眠における役割

Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-020-1993-6

哺乳類の前障は、他の前脳構造と広範な結合を持つことから、意思決定から意識まで多くの機能に関与するとの仮説がある。今回我々は、単一細胞トランスクリプトームとウイルスによる結合トレーシングによって識別される前障の相同構造が、オーストラリア産の爬虫類フトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)にも存在することを示す。フトアゴヒゲトカゲでは、前障は徐波睡眠中の鋭波の発生に関与していた。鋭波は、重畳する高周波リップルと共に、隣接する外套の背側脳室隆起(DVR)全体に伝播する。前障を片側または両側で破壊すると、徐波睡眠中の鋭波とリップルの発生が、それぞれ片側または両側で抑制されたが、この種の睡眠の特徴である規則的で急速な睡眠交替リズムは、影響を受けなかった。従って、前障は睡眠リズム自体の発生には関与しない。投射経路追跡を行ったところ、爬虫類の前障は皮質を含むさまざまな前脳領域に広く投射し、かつ収斂的投射を受けていることが明らかになり、その中には、哺乳類で睡眠覚醒制御に関与することが知られている中脳・後脳諸領域からの投射も含まれていた。例えば、前障内のセロトニン濃度を周期的に変動させると、前障内および隣接するDVR内の鋭波の発生が、それに同調して変動した。トランスクリプトーム解析によって、トカゲとは類縁関係の遠い爬虫類のアカミミガメ(Trachemys scripta)にも、前障が見つかった。従って、前障は起源の古い構造で、おそらく爬虫類と哺乳類の共通祖先脊椎動物の脳には、すでに存在していたと考えられる。中脳・後脳から受ける上行性入力と前脳への広範な投射、そして徐波睡眠中の鋭波の発生を通じて、前障は脳の状態制御に重要な役割を持つ可能性がある。

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