がん:AQP5は胃遠位部の幹細胞とがん起源細胞に豊富に存在している
Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-020-1973-x
LGR5は、マウスの胃幽門部の腺底に存在する成体上皮幹細胞を標識するが、ヒトでの同等の幹細胞集団の特徴は、その細胞を単離し、検証することを可能にする細胞表面マーカーがないために分かっていない。大腸がんマウスモデルでは、LGR5陽性腸幹細胞は、WNT経路の過剰活性化に続いて生じるがんの主な起源細胞である。しかし、ヒトの胃がんでよく見られるWNT経路の調節異常に続く胃がんの発生に、幽門部のLGR5陽性幹細胞が関与するかどうかは分かっていない。今回我々は、マウスの消化管に存在するLGR5陽性幹細胞集団の比較プロファイリングを用いて、膜タンパク質AQP5がマウスおよびヒトの幽門部成体幹細胞に豊富に発現していることを特定し、AQP5の機能的な検証を行った。我々は、新たに作製したAqp5-creERT2マウスモデルを用い、AQP5陽性細胞集団内に存在する幹細胞は、in vivoでWNT経路の調節異常が引き起こす浸潤性胃がんの起源細胞であることを示した。さらに、腫瘍に存在するAQP5陽性細胞はin vitroでオルガノイド増殖を選択的に開始させることから、この細胞集団ががん幹細胞となり得る細胞を含んでいることが示唆された。ヒトでは、AQP5は原発性の腸型胃がんサブタイプやびまん性胃がんサブタイプ(およびこれらのサブタイプ群の転移腫瘍)に高頻度に発現しており、多くの場合、健康な組織と比較して細胞内局在が変化していた。これらの新しく特定されたマーカーとマウスモデルは、胃がんの形成初期を解明し、また、ヒト胃幹細胞を単離および特徴付け、臨床でこれらの細胞の再生医療における可能性を利用するために欠くことのできない貴重な資源になると考えられる。

