細胞生物学:ATP13A2の欠損はリソソームによるポリアミン排出を障害する
Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-020-1968-7
ATP13A2(PARK9)は後期エンドリソソーム輸送体であり、認知症を伴うパーキンソン症候群であるKufor-Rakeb症候群や若年性パーキンソン病などのさまざまな神経変性疾患と遺伝的に関連することが示されている。ATP13A2は、パーキンソン病の遺伝的リスク因子や環境リスク因子に対して保護的に働いており、ATP13A2の喪失はリソソーム機能を障害する。しかし、リソソームにおけるATP13A2の輸送機能については、まだ明らかにされていない。今回我々は、ATP13A2がリソソームのポリアミン排出輸送体であり、調べたポリアミン類の中ではスペルミンに対して最も高い親和性を示すことを明らかにする。ポリアミンは精製されたATP13A2の活性を亢進する一方、疾患に関与するATP13A2変異体は疾患表現型と相関する程度に機能的に障害されていた。ATP13A2はエンドサイトーシスによる細胞のポリアミン取り込みを促進してそれらを細胞質ゾルへと輸送しており、これは、ポリアミンの細胞への取り込みにおけるエンドリソソームの役割を浮き彫りにしている。ポリアミンは高濃度では細胞毒性を誘導し、こうした毒性は、ATP13A2の喪失に起因するリソソームの機能障害や破裂、カテプシンBの活性化によって増悪する。この表現型は、ATP13A2あるいはそのオルソログの発現が損なわれたニューロンや線虫において再現された。本研究は、リソソームによるポリアミン排出の障害が、神経変性疾患と関連する可能性のあるリソソーム依存性の細胞死の機構であることを示すとともに、哺乳類のポリアミン輸送系の分子的アイデンティティーを明らかにするものである。

