細胞分裂:微小管の重合核形成因子γ-TuRCの集合と活性化についての知見
Nature 578, 7795 doi: 10.1038/s41586-019-1896-6
微小管はαおよびβチューブリンからなる動的な重合体で、細胞のシグナル伝達や移動、細胞内輸送、染色体分離に重要な役割を担っている。微小管は、微小管重合核形成と呼ばれる重要な過程で、αβチューブリン二量体からde novoに組み立てられる。微小管の重合核形成反応では、γチューブリンタンパク質を含む複合体が構造の鋳型として働く。脊椎動物では、微小管の重合核形成は2.2メガダルトンのγチューブリン環状複合体(γ-TuRC)によって行われる。この複合体は、γチューブリン、それに近縁の5種類のγチューブリン複合体タンパク質(GCP2–GCP6)、その他の因子群から構成されている。GCP6は、GCPタンパク質の中で唯一、機能の分からない長く伸びた挿入ドメインを持っている。細胞や組織での微小管形成についての我々の理解を制限しているのが、γ-TuRCの高分解能構造情報がないことである。今回我々は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)由来のγ-TuRCの、全体分解能4.8 Åでのクライオ電子顕微鏡構造を報告し、GCPバリアントが一定の順序で並んでいて、部分的にたわみやすい開いた左巻きらせん中に、GCPタンパク質とγチューブリンが14本のスポーク状に配置されていることを示す。GCP6に特異的な挿入ドメインは、他のGCPタンパク質と特異的な相互作用をすることによって、γ-TuRCが集合する足場として働いている。アクチンが、意外にもγ-TuRCの真の構造成分であって、微小管の重合核形成に機能的に関わっていることも突き止められた。γ-TuRCのらせん状の結合構造は微小管の重合核形成にとって最適下限であり、γ-TuRCの活性化にはこのコンホメーションの制御された再配置が必要である。まとめると、今回のクライオ電子顕微鏡法による構造再構成は、脊椎動物γ-TuRCの分子構成や集合、活性化機構について、詳細な知見を与えるものであり、減数分裂や有糸分裂の紡錘体形成、中心小体の生合成のような、微小管重合核形成に関連した基本的な生物学過程の機構解明のための枠組みとなるだろう。

