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神経発生:ヒト海馬の発生を解読する
Nature 577, 7791 doi: 10.1038/s41586-019-1917-5
海馬は、ヒト脳の辺縁系の重要な部分であり、空間ナビゲーションや、短期記憶から長期記憶への情報の統合に不可欠な役割を持つ。今回我々は、単一細胞RNA塩基配列解読とATAC–seq(assay for transposase-accessible chromatin using sequencing)解析(網羅的オープンクロマチン領域解析)を用いて、発達中のヒト海馬の細胞タイプ、細胞系譜、分子的特徴および転写調節を明らかにする。妊娠16〜27週のヒト海馬に由来する3万416個の細胞のトランスクリプトームを用いることで、47種類の細胞サブタイプと、それらの発生軌跡が特定された。また、PAX6+海馬前駆細胞とHOPX+海馬前駆細胞の移動経路と細胞系譜、CA1、CA3および歯状回ニューロンの領域マーカーも突き止められた。マルチオミクスデータからは、歯状回マーカーPROX1の転写調節ネットワークが見つかった。さらに、発生中のヒト前頭前野と海馬における空間特異的な遺伝子発現も示す。妊娠16〜20週のヒト海馬の分子的特性は、マウスの出生後0〜5日の分子的特性と類似しており、この2つの種間の遺伝子発現の違いが明らかになった。マウス海馬で霊長類特異的遺伝子であるNBPF1を一過的に発現させると、PROX1+細胞が顕著に増加した。これらのデータは、ヒト海馬の発生を理解するための青写真となり、関連疾患を研究するためのツールを提供する。

