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がん:TGF-βはRASエフェクターRREB1を介して繊維形成と発生におけるEMTを調整する

Nature 577, 7791 doi: 10.1038/s41586-019-1897-5

上皮間葉転換(EMT)は、表現型の可塑性が関わる過程であり、発生や創傷治癒、繊維症、がんの際に上皮細胞に移動性と浸潤性を与える。EMTは、転写因子のSNAIL、ZEB、TWISTに、この調節ネットワークのバランスを取るマイクロRNA群が加わって進められる。トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、発生や繊維形成でのEMTの強力な誘導因子である。異常なTGF-βシグナル伝達とEMTは、腎繊維症、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肺繊維症、がんの発症に関わっている。TGF-βによるEMTの誘導は、RASとMAPK(RAS/MAPK)経路への入力に依存している。今回我々は、これらのシグナルが協調してEMTを引き起こし、EMTを幅広い病態生理学的過程に組み入れる仕組みを明らかにする。我々は、RASの転写エフェクターであるRREB1(RAS-responsive element binding protein 1)が、EMTでTGF-βにより活性化されたSMAD転写因子の重要な結合相手であることを見いだした。MAPKにより活性化されたRREB1は、TGF-βが活性化したSMAD因子をSNAIL遺伝子へ誘導する。状況に依存して変化するクロマチン接近可能性は、RREB1とSMADの能力に影響し、結果として生じるEMTの性質を決定するさらなる遺伝子を活性化する。がん細胞では、TGF-β–SMADとRREB1は、SNAILと筋繊維芽細胞を刺激する繊維形成因子の発現を直接駆動して、腫瘍内での繊維化を促進し、腫瘍増殖を助ける。マウス胚盤葉上層の前駆細胞では、Nodal–SMADとRREB1が協働して、SNAIL発現と原腸形成を駆動する中内胚葉分化遺伝子の発現を誘導する。従って、RREB1はRAS経路とTGF-β経路を結び付ける分子であって、発生や繊維形成でのEMTを協調的に誘導する。以上の知見は、上皮の可塑性調節や、発生、繊維症、がんにおけるその病態生理学的結果に関する理解を深めるものである。

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