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分子生物学:ファンコニ貧血モノユビキチンリガーゼ複合体の構造

Nature 575, 7781 doi: 10.1038/s41586-019-1703-4

ファンコニ貧血(FA)経路は、内因性DNA架橋あるいは化学療法によるDNA架橋によって生じたDNA損傷を修復し、複製ストレスに応答する。ファンコニ貧血相補群(FANC)タンパク質をコードする遺伝子の変異によってこの経路が遺伝的に不活性化されると、発育が障害され、血液産生が妨げられ、がんが促進される。FA経路の重要な分子的段階は、偽対称なFANCD2–FANCIヘテロ二量体の、FAコア複合体(メガダルトン規模の大きな多タンパク質E3ユビキチンリガーゼ)によるモノユビキチン化である。モノユビキチン化されたFANCD2は、他のタンパク質因子を引き寄せて、DNA架橋の除去、あるいは立ち往生した複製フォークの安定化を行う。FAコア複合体の分子構造が明らかになれば、それがゲノムの安定性を維持するためにどのように働くかが説明できるだろう。今回我々は、活性を持つ組換えFAコア複合体を再構築し、クライオ(極低温)電子顕微鏡法と質量分析によってその構造を決定した。FAコア複合体は、FANCBサブユニットと100 kDaのFA関連タンパク質(FAAP100)サブユニットからなる二量体が中央に2個あり、それを2コピーのFANCLというRINGフィンガーサブユニットが両側から挟むという構成を持つ。これら2個のヘテロ三量体が足場となって、残る5個のサブユニットが集合し、伸びた非対称的構造を作っている。この足場を不安定化すると複合体全体が破壊され、FA経路が機能しなくなる。つまりこの構造は、FANCB、FANCL、FAAP100に変異を持つ少数の患者の発症機序の基盤を示している。配列の相同性はないが、FANCBとFAAP100はよく似た構造をとっている。2個のFANCLサブユニットは複合体の両端にあって異なったコンホメーションをとっており、それぞれが異なった役割を担っていると考えられる。二量体型RINGフィンガードメインのこのような構造的・機能的非対称性は、E3リガーゼの一般的な特徴の可能性がある。このFAコア複合体のクライオ電子顕微鏡構造は、そのE3ユビキチンリガーゼ活性やDNA鎖間架橋の修復をもっと詳しく理解するための基盤となるだろう。

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