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遺伝学:SDH欠失GISTでは染色体トポロジーの変化が発がんプログラムを駆動する

Nature 575, 7781 doi: 10.1038/s41586-019-1668-3

がんではエピジェネティックな異常が広く見られるが、その基盤となる機構や因果関係はほとんど解明されていない。一部の消化管間質腫瘍(GIST)は、カノニカルなキナーゼ変異は見られないが、その代わりにコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)が欠失しており、DNAの全体的な過剰メチル化が起こっている。今回我々は、この過剰メチル化と、発がん性プログラムを活性化するゲノムのトポロジー変化との関連を明らかにする。エピジェネティックな変化を系統立てて調べるために、KIT変異GIST、PDGFRA変異GIST、およびSDH欠失GISTで、DNAメチル化、CTCFインスレーター、エンハンサー、染色体トポロジーのマッピングを行った。これらのGISTサブタイプのそれぞれで、エンハンサーの全体像はよく似ていたが、SDH欠失GISTではインスレーターと見なされる箇所でCTCF結合がDNAメチル化に置き換わっているものが数百見つかった。正常ならGISTのコアスーパーエンハンサーとがん遺伝子FGF4とを区切っているインスレーターの破壊を集中的に調べたところ、SDH欠失GISTではこのインスレーターが頻繁に失われており、それによって座位のトポロジーが変化して、エンハンサーとがん遺伝子との間に異常な物理的相互作用が生じることが分かった。無傷のSDHを持つGISTモデルで、対応するCTCFモチーフをCRISPRを使って除去すると、エンハンサーとがん遺伝子との境界が破壊され、FGF4の発現が大幅に亢進した。また、がん遺伝子KITの近傍で頻繁に起こっている第2のインスレーター喪失も明らかになり、このがん遺伝子もSDH欠失GISTで高度に発現していた。さらに、SDH欠失GISTから、元の腫瘍のエピジェネティック状態を、過剰メチル化とインスレーターの異常も含めて忠実に維持している患者由来異種移植片(PDX)を確立した。このPDXモデルはFGF受容体(FGFR)阻害に対して高い感受性を示し、FGFRとKITの同時阻害に対してはさらに強い感受性が見られ、このモデルに内在するエピジェネティックな異常の機能的重要性が確かめられた。今回の研究は、カノニカルなキナーゼ変異がなくても、エピジェネティックな変化が発がんプログラムを駆動できる仕組みを明らかにしていて、がんで異常になった経路を機構的に標的にすることの意味を示している。

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