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構造生物学:コハク酸受容体への種選択的アンタゴニスト結合の構造的基盤
Nature 574, 7779 doi: 10.1038/s41586-019-1663-8
トリカルボン酸回路の中間体であるコハク酸は代謝過程に関わっていて、ミトコンドリア活性酸素種の恒常性に重要な役割を果たしている。コハク酸のシグナル伝達を担っている受容体であるSUCNR1(別名GPR91)は、Gタンパク質共役受容体ファミリーのメンバーで、コハク酸シグナル伝達をレニンによって誘発される高血圧や網膜血管形成、炎症と結び付けている。SUCNR1はコハク酸を潰瘍性大腸炎や肝繊維症、糖尿病、リウマチ性関節炎などの病気に関連している免疫学的危険シグナルとして感知するので、治療標的として関心が持たれている。今回我々は、細胞内で結合するナノボディと複合体を形成し、不活性なコンホメーションにあるラットSUCNR1の高分解能結晶構造を報告する。構造に基づく変異誘発実験と放射性リガンド結合研究に分子モデリングを組み合わせることで、種選択的なアンタゴニスト結合に重要な残基が突き止められ、NF-56-EJ40と呼ばれる高親和性ヒト選択的アンタゴニストと複合体を形成したヒト化ラットSUCNR1の高分解能結晶構造の決定が可能となった。コハク酸受容体の構成とそのアンタゴニスト選択性についての今回の構造学的知見は、構造ベースの創薬を可能とし、さらにSUCNR1の機能をin vitroおよびin vivoで解明するのに役立つと予想される。

