Article
発生生物学:ヒト胎児肝造血の解読
Nature 574, 7778 doi: 10.1038/s41586-019-1652-y
胎生期の肝臓における二次造血は、造血幹細胞および多能性前駆細胞(HSC/MPP)の自己複製や分化を支えているが、ヒトではまだほとんど明らかになっていない。今回我々は、肝臓細胞約14万個と、皮膚、腎臓、卵黄嚢の細胞約7万4000個について単一細胞トランスクリプトームプロファイリングを行い、ヒト発生過程での血液細胞と免疫細胞のレパートリーを特定した。我々は、HSC/MPPからの分化軌跡を推測し、組織微小環境が血液細胞や免疫細胞の発生に及ぼす影響を評価した。その結果、胎児皮膚での生理的な赤血球形成と、卵黄嚢でのマスト細胞、ナチュラルキラー細胞、自然リンパ球前駆細胞の存在が明らかになった。我々は、妊娠中の胎児肝造血の構成が、HSC/MPPの分化能の並行した変化を伴って、赤血球系優勢から移行することを実証し、これを機能的に確かめた。我々の胎児肝造血の統合マップは、小児期の血液・免疫疾患研究のための青写真になり、また、HSC/MPPが持つ治療可能性を利用するための参照情報になる。

