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進化学:刷り込みが種分化の準備をする

Nature 574, 7776 doi: 10.1038/s41586-019-1599-z

性的刷り込みとは、子が親の形質を学習して、それを後に自身の配偶相手の選り好みのモデルとして用いる現象のことであり、これが種間の生殖障壁を作り出す場合がある。刷り込みの対象となるのが交配に関わる形質で、これが若い系統の間で違いがある場合、刷り込まれた選好性が行動隔離に寄与し、種分化を促進する可能性がある。しかし、性選択による種分化のモデルの大半では分岐自然選択も必要であり、これが、性選択された単一あるいは複数の形質、そしてそうした形質に影響を与える配偶相手の選り好みに多様性を生じさせ、それを維持する働きをする。今回我々は、刷り込みが、雌の配偶相手の選り好みに関わるだけでなく、雄同士の攻撃における偏りをも形成し得ることを明らかにする。こうした偏りは、自然選択と同様に働いて、形質や配偶相手の選り好みの多様性を維持させ、これが性選択によってのみ引き起こされる生殖隔離を促進する。我々は、里親実験を行って、イチゴヤドクガエル(Oophaga pumilio)の雄と雌の両方で、この生物種で最近急激に分岐した交配形質である配色の刷り込みが起こることを明らかにする。里親に育てられた雌は、育ての母と同色の配偶者を好み、里親に育てられた雄は、育ての母と同色の競争者に対してより強い攻撃性を示した。また、単純な集団遺伝学モデルを使うことで、雄の攻撃性の偏りと雌の配偶相手の選り好みの両方が親の刷り込みを通して形成されたときには、性選択だけによって(1)同所的多型が安定化され、(2)形質と選好性の関連が強化されて行動的な生殖隔離につながり得ることが実証された。この研究によって、両生類で刷り込みが起こることを示す証拠が得られ、またこれまでほとんど考慮されていなかった、競争相手の刷り込みと性的刷り込みの組み合わせによって、分岐的な交配形質を持つ個体間の遺伝子流動が減少する可能性があり、これが性選択による種分化の準備となることが示唆された。

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