Letter

発生生物学:前腸–中腸境界からのヒトの肝胆膵器官形成をモデルする

Nature 574, 7776 doi: 10.1038/s41586-019-1598-0

器官形成は、複数の境界組織の相互作用により調整される、緻密で相互に連続した過程である。しかし、隣接する個々の構成要素がどのように連携して、複数の器官からなる一体化した構造を形成するのかについては分かっていない。今回我々は、ヒト多能性幹細胞(PSC)の三次元培養からの陥入による、肝臓と胆管と膵臓の構造の連続的なパターン形成と動的な形態形成について報告する。ヒトPSCから分化させた前方腸スフェロイドと後方腸スフェロイドの境界における相互作用は、外因性因子非存在下で前腸–中腸境界オルガノイドにおいて指定されている肝臓・胆管・膵臓(HBP)器官領域を、レチノイン酸依存的に出現させることができる。移植片由来のオルガノイドは中腸由来組織を優位に発生するが、マイクロダイセクションしたHBPオルガノイドは、長期培養後に独立した多器官原基へ発生する。この原基は続いて、陥入や相互に連結した3つの異なる器官構造の分岐など、初期の形態形成現象を再現し、器官培養を行ったマウスの前腸–中腸培養由来の組織に類似した性質を示す。HES1遺伝子変異により引き起こされた多器官領域の分離異常は、in vivoで見られるのと同様に、培養において胆管を指定する能力を失わせる。以上をまとめると、前腸組織と中腸組織の接着により、多器官が統合された実験モデルの樹立が可能であり、ヒトの複雑な内胚葉器官形成研究において、扱いやすく操作可能で、入手の容易なモデルとなり得ることが証明された。

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