Letter
環境科学:全球の地下水揚水に対する環境流量の限界
Nature 574, 7776 doi: 10.1038/s41586-019-1594-4
地下水は世界最大の淡水資源であり、灌漑、ひいては全球の食料安全保障に極めて重要である。持続可能でない地下水揚水は、降水や河川による涵養をすでに上回っており、特に集中的に灌漑が行われている地域では、地下水位の著しい低下や地下水貯留の損失が生じている。地下水位が低下すると、地下水から河川への流出が減少したり、その方向が逆転したり、完全に停止したりすることさえあり、そのため河川流量が減少して、水界生態系に壊滅的な影響をもたらす可能性がある。今回我々は、地下水揚水に起因する地下水位の低下と全球の河川流量の減少とを関連付け、環境に重要な河川流量(健全な生態系の維持に必要である)が維持できなくなる地域と時期を推定した。その結果、2050年までに、地下水揚水が行われている世界中の流域の約42〜79%で環境流量が限界に達し、これが一般的には地下水貯留がかなり失われる前に生じると見積もられた。河川流量に影響を及ぼすには、地下水位のわずかな低下しか必要でないので、今回の見積もりは、地下水の流出の逆転への遷移が起こりかけている河川では不確かになる。しかし、多くの地域では地下水揚水の速度が速く、環境流量の限界を大幅に超えていることが分かっている。地表水の使用と比べると、地下水揚水の影響は著しく遅れて現れる。従って、今回の結果は、現在と将来の地下水使用に関する環境的遺産を明らかにしている。

