Letter

微生物学:帝王切開分娩における微生物相の発達不全および日和見病原体の定着

Nature 574, 7776 doi: 10.1038/s41586-019-1560-1

出生直後の新生児では、母親や周囲の環境に由来する微生物の迅速な定着が起こる。小児期やその後にかかる疾患は、乳児期に腸内微生物相の定着が乱されたことによる可能性がある。しかし、帝王切開による分娩が、腸内微生物相の獲得や発達の最初期段階である新生児期(生後1 か月以内)に及ぼす影響については議論が続いている。今回我々は、帝王切開による分娩児では、母親からのバクテロイデス属(Bacteroides)の株の伝播がほとんどなく、病院の環境に関連する日和見病原体[エンテロコッカス属(Enterococcus)、エンテロバクター属(Enterobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)の種など]が高レベルで定着していることを報告する。このような影響は、比較的程度は低いが、抗生物質の予防投与を受けた母親による経膣分娩児や、新生児期に母乳栄養ではなかった乳児でも見られた。我々は、英国の病院で生まれた満期産児596人の1679の腸内微生物相試料に対して、縦断的な試料採取(新生児期の複数時点と乳児期に採取)と全ゲノムショットガンメタゲノム解析を行い、これらの乳児の一部については、さらに対応する試料を母親から集めた(乳児178人とその母親175人)。この解析から、分娩様式が新生児期を通して、さらに乳児期までの腸内微生物相の組成に影響を及ぼす重要な要因であることが実証された。これらの乳児に由来する800を超える細菌株について、大規模な培養と全ゲノム塩基配列解読を対応させることで、日和見病原体の病原性因子と臨床に関連する抗微生物薬耐性が特定された。これらは、日和見感染症の素因となる可能性がある。我々の知見は、人生の非常に早い段階で腸内微生物相が確立される際に、局所的環境が重要な役割を担っていることを明らかにしており、抗微生物薬耐性を有する日和見病原体の定着が、これまで正しく評価されていなかった病院出産時のリスク要因であることが突き止められた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度