Letter

気候科学:グリーンランドの透水性の低い氷スラブの急速な拡大

Nature 573, 7774 doi: 10.1038/s41586-019-1550-3

最近数十年間で、融解水の流出が、急速にグリーンランド氷床における質量損失の主要な機構になっている。グリーンランド内陸部の高地では多孔質の雪とフィルンが蓄積しており、これらは表面の融解水を吸収して流出水を抑制するが、十分な量の水が表面付近で再凍結し、透水を制限すれば、この緩衝効果は制限される。しかし、グリーンランドの流出水に対する再凍結の影響はまだほとんど定量化されていない。本論文では、フィルンコア、レーダー観測、局地気候モデルを用いて、近年の融解水の増大によって、厚さ数メートルの透水性の低い「氷スラブ」が形成され、これによってグリーンランド氷床の総流出面積が2001年以降26 ± 3%拡大したことを示す。氷スラブ表面からの流出水は、これまでの全球の海水準上昇に1 mm未満しか寄与していないが、温暖化する気候において氷スラブが内陸部へ拡大するにつれてこの寄与は著しく大きくなる。氷スラブの上の流出水の全球の海水準上昇への寄与は、2100年までに中程度の排出シナリオで7〜33 mm、高排出シナリオで17〜74 mmとなる。これらは、氷スラブを考慮しない表面質量収支モデルによって予測されるグリーンランド内陸部の高地からの流出水の見積りの約2倍である。氷スラブは、表面の融解水のフィードバック過程を増強する重要な役割を担うと考えられ、氷床の現在と将来の水文を根本的に変えるだろう。

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