Article

気候変動:パリ協定の長期気温目標に向けた新しいシナリオの論理

Nature 573, 7774 doi: 10.1038/s41586-019-1541-4

気候政策は、どうすれば地球温暖化を2°Cを十分下回る温度で、さらには1.5°C以下の温度でも維持できるか理解するために、社会が温室効果ガスの排出量を削減し得る方法を示したシナリオを用いている。しかし、現行のシナリオには重大な弱点がある。それは、そうしたシナリオが、2100年に特定の気候目標に達することに重点を置いている場合が多い点である。この選択は、対策が遅れて、今世紀半ばの温暖化が許容範囲を超え、その後の二酸化炭素の正味の除去に頼って排出量削減の初期の不足分を解消するといったリスクを伴う経路を助長する可能性がある。今回我々は、物理科学から得られた知見を用いて、気温の安定化あるいはその後の低下によって地球温暖化を特定の最大レベルに制限することに重点を置いたシナリオの枠組みを提案する。このシナリオでは、カーボンニュートラルに向けた気候対策の強い熱意によって温暖化のピークが決まり、その後、持続可能性への影響が異なるさまざまな長期的状態が続く。今回提案する方法は、国連のパリ協定の意図を密接に反映しており、世代間の公平性の問題を明示的な設計選択にしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度