Letter

化学:電解生成したカルボカチオンを用いる立体障害性ジアルキルエーテルの合成

Nature 573, 7774 doi: 10.1038/s41586-019-1539-y

立体障害の大きなエーテルには、さまざまな応用で高い価値がある。しかし、従来の反応による合成が難しいため、化学空間の中であまり研究されていない領域となっている。そうしたモチーフは、エーテル結合周辺での大規模な置換によって、in vivoで急速分解につながり得る望ましくない代謝過程を阻止できるため、医薬品化学分野で熱望されている。今回我々は、電気化学的酸化を利用して単純なカルボン酸から高エネルギーカルボカチオンを遊離させることによる、簡便な立体障害性エーテル合成法について報告する。こうした反応性カルボカチオン中間体は、低い電気化学ポテンシャルで生成され、非酸性条件下でアルコールドナーを捕捉する。これによって、他の方法で合成困難なさまざまなエーテルの形成が可能になる(今回80以上のエーテルを合成した)。また、カルボカチオンは単純な求核剤によって捕捉されるので、立体障害性アルコールはもとよりフッ化アルキルも形成できる。この方法を、12の化学骨格の合成時に直面する合成のボトルネックを回避する能力について評価したところ、合成に必要なステップ数と労力が大幅に低減したことに加え、必要な生成物の収率が向上した。分子プローブの使用と速度論的研究の結果から、提案した機構と、検討した条件下での添加剤の役割が裏付けられた。今回報告した反応の多様性は、温和な条件下で高反応性中間体を形成する電気化学の力と、ひいては、他の方法では得られないこれらの高反応性中間体を用いて達成できる大幅な効率の向上を実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度