Letter

エピジェネティクス:MLLメチルトランスフェラーゼによるヌクレオソーム認識と修飾の構造基盤

Nature 573, 7774 doi: 10.1038/s41586-019-1528-1

MLL(mixed lineage leukaemia)ファミリーに属するメチルトランスフェラーゼには、MLL1、MLL2、MLL3、MLL4、SET1AとSET1Bが含まれ、ヒストンH3のリシン4(H3K4)でのメチル化を行い、造血や脂肪生成、発生での転写調節に重要かつ独特な役割を担っている。MLLタンパク質のC末端にあって触媒活性を持つSET(Su(var.)3–9, enhancer of zeste and trithorax)ドメインは、一連の共通した調節因子(WDR5とRBBP5、ASH2L、DPY30)と結合して特別な活性を獲得している。MLL活性の調節に関する現在の知識は、ヒストンH3ペプチドの触媒反応に限られており、H3K4メチルマークがヌクレオソーム上に正確に置かれる仕組みはよく分かっていない。H3K4メチル化は、ヒストンH2Bのリシン120のモノユビキチン化(H2BK120ub1、クロマチン凝縮を中断させ、開いたクロマチン構造をとるように働く一般的なヒストンH2Bマークである)により促進されるが、その基盤となる機構は未解明である。今回我々は、ヒトMLL1とMLL3の触媒モジュールが、H2BK120ub1、もしくは修飾されていないH2BK120を含むヌクレオソームコア粒子と結合した状態のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。これらの構造から、MLL1複合体とMLL3複合体が共に、ヒストンフォールドおよびヌクレオソームのDNA領域と広範囲にわたって接触していることが明らかになった。これによってヒストンH3尾部へのアクセス(H3K4の効率的なメチル化に必須である)が容易になる。H2Bと連結したユビキチンはRBBP5へ直接結合し、MLL1またはMLL3とヌクレオソームとの間の結合を導く。MLL1複合体とMLL3複合体は、WDR5、RBBP5、MLL1(または対応するMLL3)のサブユニット間の界面構造的編成が異なっていて、これによって2種類の酵素の活性調節でWDR5が正反対の役割を果たすことが説明できる。これらの知見は、MLL活性のヌクレオソームレベルでの調節の構造基盤に関する我々の理解を変えるもので、ヒストン尾部修飾にヌクレオソームによる調節が果たす極めて重要な役割を明確に示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度