化学生物学:がんで増幅されたZDHHC19と脂肪酸はS-パルミトイル化を介してSTAT3活性化を促進する
Nature 573, 7772 doi: 10.1038/s41586-019-1511-x
STAT3(signal transducer and activator of transcription 3)は、細胞運命、炎症、免疫の調節に重要な役割を担っている。サイトカインや増殖因子は、キナーゼが関わるチロシンリン酸化と二量体化を介してSTAT3を活性化する。これら以外の因子が別個の機構によってSTAT3活性化を促進するかどうかはまだ分かっていない。今回我々は、STAT3は翻訳後にSH2(SRC homology 2)ドメインがS-パルミトイル化され、この修飾がSTAT3の二量体化と転写活性化を促進することを示す。脂肪酸はSTAT3のパルミトイル化を増進することで、サイトカイン刺激と相乗的にSTAT3を直接活性化できる。我々はさらに、ZDHHC19がSTAT3を調節するパルミトイルアシルトランスフェラーゼであることを突き止めた。サイトカイン刺激は、ZDHHC19とSTAT3の会合を促進してSTAT3のパルミトイル化を増加させ、この会合はGRB2のSH3ドメインを介して起こる。ZDHHC19のサイレンシングはSTAT3のパルミトイル化と二量体化を妨害し、サイトカインや脂肪酸により誘導されるSTAT3活性化を阻害する。ZDHHC19は多数のヒトがんで増幅されていることが多く、肺扁平上皮細胞がんではその39%で増幅が見られる。患者試料では、高レベルのZDHHC19は核内STAT3のレベル上昇と相関していた。さらに、肺扁平上皮細胞がん細胞でZDHHC19をノックアウトするとSTAT3活性が顕著に阻害され、脂肪酸誘導性の腫瘍塊形成に加えて、in vivoマウスモデルでの高脂肪食誘導性の腫瘍発生も抑制される。我々の研究は、脂肪酸とZDHHC19を介したパルミトイル化はSTAT3を調節するシグナルであることを明らかにしたもので、パルミトイル化の脱調節と炎症やがんを結び付ける証拠となるものだ。

