惑星科学:巨大衝突によって作り出された木星の低密度コア
Nature 572, 7769 doi: 10.1038/s41586-019-1470-2
ジュノーミッションによって木星重力場の精密な測定値が与えられており、それを使うことで木星の組成や内部構造に関する情報が得られている。探査機のデータと一致するいくつかの木星の内部構造モデルは、木星中心には地球質量の10から数十倍程度(木星質量の約5〜15%)の重元素(水素やヘリウム以外の元素)からなる低密度なコアがあり、重元素が木星半径の半分程度の領域まで広がって分布していることを示している。惑星形成モデルからは、重元素の大半は惑星形成の初期に降着して比較的小さなコアを作り、その後の、コアの周りに円盤ガスが暴走的に集積する段階では固体物質はほとんど降着しないことが示されている。従って、木星内部に重元素が豊富に存在する可能性と、低密度コアの存在は、従来の惑星形成論とは矛盾する。考え得る説明として、初期には小さかった重元素コアの侵食があるが、そうしたコア侵食の効率は不確かで、惑星の進化とともに金属水素内の重元素物質の非混和度や対流撹拌の強さに依存して変化する。この構造を説明できる他の機構は、形成途中での微惑星のさらなる集積と蒸発であるが、こうしたモデルは一般に、広がった低密度コアを作り出せない。本論文では、大きな原始惑星と原始木星の間で起きた非常に激しい正面衝突(巨大衝突)が、木星の初期の小さなコアを粉砕し、その重元素と内側のエンベロープを混合できたことを示す。こうしたシナリオに基づいたモデルでは、低密度コアと整合的な内部構造が作られ、それが数十億年にわたって維持される。我々は、初期の太陽系では天体衝突は珍しくなく、同様の事象が土星にも起こっていた可能性があり、それが木星と土星の構造的な違いに寄与したと提案する。

