病原体:カルモジュリン依存性グルタミラーゼによる、ホスホリボシルユビキチン化の調節
Nature 572, 7769 doi: 10.1038/s41586-019-1439-1
細菌性病原体であるレジオネラ菌Legionella pneumophilaは、自身が持つDot/Icm分泌系から供給される何百ものエフェクタータンパク質を使って宿主細胞の諸機能を広範に変化させることにより、宿主細胞内に自己の複製が可能なニッチを作る。こうしたエフェクタータンパク質のうち、SidEファミリーのタンパク質は、カノニカルなユビキチン化機構を迂回する独特なホスホリボシルユビキチン化機構を介して、いくつかの細胞過程を調節する。このSidEの活性を調節しているのは、SidJと呼ばれる別のDot/Icmエフェクタータンパク質だが、この調節の仕組みは完全には解明されていない。今回我々は、SidJが、SidEファミリーに属するSdeAのE860にグルタミン酸の一部を共有結合で付加させることにより、SidE活性を阻害することを明らかにする。このE860は、ユビキチン活性化に関与するモノADPリボシルトランスフェラーゼ活性に必要な触媒残基の1つである。SidJによるこの阻害が起こるのは宿主細胞中の空間に限られているが、それはSidJの活性に、真核生物特異的タンパク質であるカルモジュリン(CaM)が必要なためである。我々は、AMPと複合体を形成したSidJ–CaMの構造を解き、この反応に用いられるATPはSidJによりαリン酸の位置で切断されること、SidJはグルタミン酸や修飾可能なSdeAがないと、自己AMP化されることを見いだした。これらの結果から、細菌の病原性の調節機構、すなわち細菌の病原性因子の活性を阻害するグルタミル化反応が、宿主因子に依存したアシルアデニル化により活性化されるという仕組みが示された。

